全4回の連載もいよいよ最終回です。 これまでは個人のキャリアの話をしてきましたが、最後は**「現場でのチーム医療」**への応用についてです。

「チーム医療が大事」「多職種連携をしよう」とはよく言われますが、現実は綺麗事ばかりではありません。下村昭彦先生は、現場の医師が直面するリアリティをこう表現します。

■ 現実は「アサインされたチーム」ばかり

「研修のグループワークなどでは、架空の地域医療をテーマに理想的なチームを作りますが、現実社会ではそんなことは起きません

下村先生の言葉に、ドキッとした方も多いのではないでしょうか。 「通常は、**『あなたたち、医療安全チームなんで、医療安全のことを考えなさい』**と言われて、人が集められる(アサインされる)ことがほとんどですよね?」

そこに本人の情熱があるとは限りません。最初は「やらされ仕事」で集まったメンバーかもしれません。しかも、「医療安全を考えろ」という大枠の指示はあっても、具体的に明日何をすればいいのか、詳細な指示はないことがほとんどです。 だからこそ、現場は混乱し、疲弊します。

■ 「Shared Mission」がチームを動かす

そんな時こそ、これまで学んだ「ミッション・ビジョン(MV)」の出番です。 下村先生はこう語ります。

「詳細な指示がない部分を、自分たちで言語化するんです。『我々は何を目指すのか(ビジョン)』『そのために何をするのか(ミッション)』。それを共有することで、初めてチームの方向性が定まります」

上から言われたからやるのではなく、**「自分たちのチームは何を実現したいのか」を話し合い、「Shared Mission(共有されたミッション)」**を作る。 それができたとき、単なる「寄せ集めの委員会」は、自律的に動く「チーム」へと変わります。

■ チームの成長には段階がある

チーム作りには**「タックマンモデル」**と呼ばれる4つの段階(形成期・混乱期・統一期・機能期)があると言われています。 寄せ集めのメンバーがいきなり機能することはありません。ミッションを話し合う中で意見がぶつかる(混乱期)こともありますが、それを経て「Shared Mission」が定まることで、チームは統一期へと向かいます。

下村先生は、具体的な**「SMARTゴール(期限付きの明確な目標)」**を決めるのは、この方向性が定まってからでいいと言います。 「方向性がわかると、じゃあゴールとして何を定めないといけないのか、いつまで存続するのかが決まります。そこで初めて、年限内にこれをやります、というSMARTゴールを定めていくのが重要なんです」

順番を間違えてはいけません。まずは「羅針盤(ミッション・ビジョン)」を合わせること。それが、やらされ仕事を「自分たちのプロジェクト」に変える唯一の方法です。

■ まずはJ-TOPの仲間に会いに来ませんか?

キャリアの羅針盤を持ち、それを磨いてくれる相談相手(メンター)を持ち、チームでビジョンを共有すること。 これらは決して選ばれたエリートだけの特権ではありません。

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